2012年02月03日

私が床暖房を薦めたくないわけ。

私が床暖房を薦めたくないわけ。

お客さんとの打ち合わせでたまに出るキーワード「床暖房」。

 新築時に付けることは簡単ですし、工事金額も増えるのでお客さん以外は利益UPで歓迎することなのでしょうが、私は「ちょっと待ってください。」と説得することから始めています。マイナス温度当たり前の寒冷地札幌の北海道大学で建築環境を専攻し、大学院まで修了した私はこの点にはこだわります。

 まず、床暖房を希望する方が持っている現在の不満は以前の私もそうでしたが「床が冷たい。」の一点で共通しています。

 ではなぜ、床が冷たいのでしょう?
①床の断熱が不足している。
②床の材料選定に問題がある。

①については、古い家の床下には大抵断熱が無いため寒くて当たり前です。これは新築時の断熱性能を向上させることで対応可能です。意外と知られていないことですが、暖房機器にお金をかけるより断熱材にお金をかけるほうが化石燃料の消費を減らせるという点で優れていると同時に費用的にもオトクです。

②床が冷たいと感じるのはあまりにも床が低温(床断熱がなければほとんど床下温度と同じ)であるため、足の裏の体温が冷えた床板に流れこみます。これが寒いと感じる仕組み。では流れ込まないようにするにはどうしたら良いか?床の温度低下を避ける(断熱)と同時に冷えにくい材料を選定することです。当事務所ではそういった理由から熱伝導率の高い広葉樹よりも熱伝導率の低い針葉樹をおすすめする傾向にあります。また一般的に熱伝導率の低いものは空気を多く含み柔らかい傾向にあるため、傷と足ざわりの点で特徴を説明してから杉やカラマツ、松などの採用に至っています。

 やや抽象的ですがこの足ざわりと言う感覚は非常に重要で、安いベニヤフローリングと針葉樹の無垢材は目をつぶっても分かるほど温度も触感も異なります。

 あとは、床暖房をするということは床板のすぐ裏側で短時間で最高60度くらいの温水を通すことなので無垢の床材には過酷な環境となります。床暖房可能と銘打って販売される無垢の床材は(質の割に)非常に高価なことも総額を司る立場の私としては採用をためらう一因でもあります。

 それに床暖房が入っている部分と入っていない部分がはっきり別れる部分も融通性がなく、家具の配置変更などに制約が出ることもマイナスポイントでしょうか。

 以上の理由でこのあたりの木の家に床暖房は無くてもいいのでは、と考えています。

 木の家を御検討中でそれでも床暖房が気になっている方は、必ず事前予約の上、是非当事務所に御来場ください。体験することが一番です。

大林勇設計事務所



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