2023年02月19日

記念すべきピアノの引越の日に現場で目撃したものは!

こんにちは、大林です。

本日は、強風の中、浜松シティマラソンに参加してきました。悪天候でしたが上々の出来で5年前よりハーフマラソンで約1分進化したようです。 50歳、まだまだ元気です。 「加齢は進化」というベテランランナーの言葉に勇気づけられます。

さて、昨日の仕事のお話。

私、実は涙腺がとても弱いのです。

子供の卒業式とかで何度も味わったことのある、鼻の奥というか喉の奥のほうがツーンとするようなあの感覚がとても苦手なのです。 それをまさか仕事の現場で味わうとは!という話です。


昨日、引き渡し間際のお住まいで先行してピアノの搬入がありました。 奥様が学生時代をともにした思い出の(小型?らしい)グランドピアノです。 ただ、現在のアパートでは当然収まるはずもなく、実家の和室を占拠していて、アパートから通ってたまに弾きに行っていたとの事。

家を建てるなら、このピアノと一緒に住みたい。 ご主人曰く、ピアノがどうにも入らないのであれば、奥様はマイホームは要らないとまで思っていたそうです。 今回のお住まいの重要なテーマでした。

私は夢を叶えるべく、万全の床補強も行い、収まるつもりで当然設計していますが、万一収まらなかったら切腹モノのドキドキ(ちょっと大げさ)で別の部屋で木製建具の自然塗装をしていました。 ソワソワしても外野の人間ははやることもないので、手を動かしていたほうが気が紛れますからね。

チラチラ見ると業者さんの仕事は実に手際よく、そしてアナログで興味深いものでした。ラグビー部のフォワード前列のような力自慢が3人くらい来るのかと思いましたが、そこまでゴツくなかったのは意外でした。

何事もなかったように思い出のピアノは収まるべき場所に収まり、切腹は回避されひと安心です。(笑)

さて、ついに念願の新居での初弾きです。 ギャラリーである私もワクワクで、記念にスマホで動画を撮ろうと構えていました。

奥様はといえば、それはもう嬉しさがダダ漏れなのに加え、この日を待ち望んでいたかのようなまるで流れるような演奏でした。 音楽がからっきしダメな私には、右手と左手が別々に鍵盤を操るだけでもう異次元の動きに見えます。

その時でした。ピアノを弾く手が止まります。 おっ、どうした?と私も心のなかで驚きます。 両手で顔を覆い、夢が叶った喜びを何度も噛み締めておられるではありませんか。

20年近くこの仕事をしていて、お住まいの引き渡しの際は皆さん当然喜んでおられますが、ここまで間近で感動の瞬間に意識せずに立ち会ったことは初めてでした。

私は心の準備もしていなかったので、不意打ちは危険です(笑)。

ブレないように両手で構えていた記念すべき日の動画撮影を止めるわけにも行かず、録画中なので声をかけて気を紛らわすわけにも行かず、涙腺の弱い私は「卒業式のあの苦手な感覚」をじっと抑えるのが必死でした。

何とか気持ちをクリアして、キリの良いところで動画停止。 ふ~、危なかった。 

パパも別アングルで撮影中で、行き場の無くなった娘さんがたまらず息子さんと演奏するママに戯れ付く写真をスマホに収めさせていただきました。



小学校低学年の息子さんもピアノを弾かれてましたが、習い事特有のやらされているイヤイヤ感が一切無く、読んで字のごとく「音」を「楽しむ」感じがあり、何年後かに高校の合唱コンクールで伴奏を担当してそうな未来が見えました。

この日、2/18はご実家では和室が開放され、新居にはピアノが搬入される、どちらにも大変思い出深いピアノ記念日になったようです。 おめでとうございます。


大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 17:20

2023年02月10日

今なら自宅はこう建てる!後編

こんにちは、大林です。

関東では大雪とのこと、今日は少し冷えますね。

前回は、もし今から自宅をまた建てるとしても変わらずに採用すること、なんてプラスの話ばかり書きましたが、やはり改善点はあります。

正直なところ、外部の開口部ですね。

 当時は、まだ主流でなかったこともあり、樹脂サッシには手を出さずにLIXILの当時の新製品サーモスLを採用しました。 デザイン性はとても良いのですが、窓から逃げる熱の割合は、壁よりも多いためやはりアルミサッシでは限界があります。

 今ならば、YKKapのAPW330で樹脂スペーサー指定の高性能ガラスを基本としたいところです。 ただ、味わいも残したいので気密性能は劣りますが、写真のような木製建具は何箇所か残します。 片引きで全開ができ、木製雨戸、木製網戸、通称吉村障子も加えた、職人さんの手仕事満載のこだわりの部位。


(新築当時の我が家)

 あと、この場所に限らず開口部の大きさと個数と位置は今も昔も悩むところです。

 四方八方に窓があれば、夏だけを考えれば風は抜けます。 ただ、一般的に窓は、壁よりも断熱性能は劣りますので窓が多いほど熱の逃げ場所は増えます。 それに日射による熱取得の問題も特に夏の西日は顕著なため、西側の窓を減らすのもプランによっては一つの解法かとも思います。 効果のある場所にどう窓を切るか、設計の技量が表れる場所です。

 あと、当時は普通に流通していたジャロジー窓。我が家ではダブルジャロジーというガラスが二層のものを採用しました。便利ですが、熱性能と気密の悪さから、市場から消えたように思います。 これは、反省点です。

もう一つは、トイレです。

 当時も今もタンクレストイレが主流で、1階のトイレはLIXILのサティスを選びました。機能に全く不満はないのですが、以前のお客様で便座機能部が壊れたときにすでに便座の部品がなく、便器ごと全交換した方もいらっしゃいました。

 タンクありタイプの便座は一般的に2つ穴で固定されて汎用性に富んでいるため、長い目で考えるとタンクありタイプでいいかなと今なら思います。 形状も掃除しやすく変わっていますし、値段も安価な傾向にあるようです。

 ちょうど、今度完成見学会をさせて頂くお住いが、トイレ問題と西窓問題をクリアしていて、私のモヤモヤを振り払ってくれた気がします。

 自分自身で設計して住むことにより、経験値は上がっていきます。 いつまでも向上心と好奇心を失わずに設計の腕を磨きたいものです。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 19:17浜松市・まかないや(賄家)

2023年02月08日

今なら自宅はこう建てる!前編

こんにちは、大林です。

先日、雑談で「家は3回建てないと満足する家にはならない」と巷でよく聞く話に出会いました。

さすがに設計の仕事をしていますので、「うんうん、同感同感」ということはありませんが、10年経つと世の中の住宅事情も変わるため、いまなら違う事を考えただろうな、とかこれ要らなかったな、など改善案はちょいちょいあります。

変わらずに採用すること

・薪ストーブ
暖かいのはもちろんのこと、薪を集め、切り分けて準備をするところから楽しい。 光熱費も高騰していますし、現場で出る間柱など捨てたい人と私のようにもらいたい人のバランスが好都合。 ただ、薪をお金を出して買うつもりなのであれば、灯油やガスよりも高く付きます。ご注意を。

・からまつ浮造り(うづくり)の床
当時は、信州から松を安く入手することが出来たので使用しました。浮造りを掛けて柔らかい部分を削っているため、傷が目立ちにくく足ざわりが良い。寸法安定性も良好でした。

・左官の塗り壁
光が当たったときの質感が絶妙で、やはりビニール壁紙とは一線を画す。 ここは、費用がかかっても絶対譲れないところ。

・製作の木製建具
家の雰囲気を決定的に左右するのがココですね。例えば、我が家の引戸の引手は毎日何度も触れますが、11年経った今でも、仕事ぶりの見事さに唸ります。ここも絶対譲れないところ。 あっ、建具レールは上吊りにするかも。Vレールに意外とゴミが溜まります。

今なら変えるだろうな、という点も書こうと思いましたが、長くなったので一旦このあたりで終了します。


大林勇設計事務所




  


Posted by 大林勇設計事務所 at 16:01浜松市・まかないや(賄家)