2024年03月29日

もうじき、建築業界27年目の春です

こんにちは、大林です。

 3月の月末も迫り、もうじき4月。
私自身には、変化もなく普通の月末ですが、新年度が始まります。

 学生時代を過ごした街や住み慣れた実家を離れる不安、会社に入る希望と不安の入り混じった気持ち、自分の子供がその年代になった今でも鮮明に思い出し、容易に想像できます。 非常勤講師を務める専門学校の卒業生は、今頃何を思っているのだろう、そんな思いも頭をよぎります。

 今、冷静に計算してみると、社会人スタートの住宅メーカーに入社してから27年目の春です。よく考えたら、それからずっと人の縁に恵まれ、建築の仕事をして来たことに自分でも驚きます。




 待遇も人間関係も良く、素晴らしい会社でしたが、昔からプラモデルや工作が大好きだった私の性分には、システマチックに出来すぎている住宅にやや面白みが感じられなかったこと、将来この家に住みたいかと問われれば、「ちょっと違うな」と感じたことが、建築業界の中で人生の方向修正をしたきっかけでした。

 今でもあの頃の気持そのままに、「住宅展示場の家では何か違う、それに高い。自分たちの暮らしや信念、価値観に合う家を探してます。」という声に応えられる仕事を続けていきたい、と思っています。

 来年令和7年4月には建築基準法の大きな改正(4号特例の廃止、省エネ基準適合の義務付け)があります。新しい知識を取り入れて、私自身をバージョンアップさせながらスキルを磨いていきたいと思います。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 10:35

2024年03月25日

長男のひと段落と子供部屋の話

こんにちは、大林です。旅立ちの季節ですね。

 この時期は、毎年のことながらちょっと複雑な気持ちになりますね。 うまく行った人、うまく行かなかった人、あちこちから悲喜交交の話を聞きます。 受験した子供も辛いですが、親も辛いですよね。 高校も大学も落ちた我が子を見てきた経験者なので痛いほどよく分かります。

 我が家の長男も無事大学を卒業。 大学入試で大変苦労し、やっと最後の最後にやっと引っかかった大学でしたが、入学式もなく、コロナ禍をくぐり抜けて何とか卒業というゴールに辿り着き、オンラインで卒業式も見ることができました。 仲間と卒業旅行に出かけてそろそろ帰ってくる頃だと思います。

 実家を離れての4年間でしたが、仲間、友達にも恵まれ充実した時間を過ごせたようです。 いつまでも、小学生のように「学校でイジメられないだろうか」と心配してしまうのは、何歳になっても親だからでしょうかね。 友達とはきっとこの先も連絡を取り合ったり、結婚式に呼んだり呼ばれたりの関係が続くのでしょう。 若者達の未来が楽しみです。 このあと、大学院で後2年勉強します。

さて住宅設計の話に飛びますが、打ち合わせの際にはどのご家庭も子供部屋の話は避けて通れません。

我が家の場合、多分都会で就職しておそらくその後も帰省のときくらいしか我が家の子供部屋に戻ることはないでしょう。

ちなみに我が家の子供部屋の新築時の写真。



柱だけ入れて当初から入れてあり、現在は私の素人施工で2部屋に区切っています。 我が家の場合、次男も中学を卒業して家を出たのでこのまま行くと子供部屋が本当に必要だったのは、計算してみると2人とも8年間でした。

お子様が小さいときに住宅取得を考える家庭が多く、どうしてもいつまでも子供が小さいまま家にいる前提で設計されがちです。 また、現在進行系で子育てに追われているパパママには、子育てに全振りした提案の方が受けが良く、量産ハウスメーカーはその点狙って提案する傾向にあります。

でも、そこは一旦冷静に立ち止まって考えてみてください。 やはり子供たちはいつかは出ていきます。

 子供部屋には間仕切りを追加したり撤去したりの可変性と、傷や汚れがついても気にならない素材が適していると思います。 我が家ではシナベニヤを使いましたが、ポスターなど画鋲で気楽にブスブス刺していました。 今となってはもうワンランク安価なラワンベニヤでも気軽で良かったなと思います。 
 
 子供部屋の10年後20年後を考える、長く住むための視点を忘れないことをオススメしたいと思います。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 20:56浜松市・まかないや(賄家)

2024年02月16日

卒業制作展を見てきました

こんにちは、大林です。

 浜松の、まちなか(私のような郊外の田舎者はそう言ってしまう)に出かけたついでに、静岡文化芸術大学の卒業展にお邪魔してきました。 建築士の講習で先日アクトシティに出かけた際に見かけた告知ポスターのアート感が素敵で、これは行かなくては、と思った次第。


先日、長男の大学にも立ち寄ったこともあり、大学の構内は将来への可能性の萌芽の塊のような気がして、いくつになっても刺激を受けるすごく好きな場所です。



私自身の学生時代は、図面手書き世代の最後なこともあり、やはりCAD世代がアナログとデジタルを使い分けながら思考を積み重ねる様子を羨望が入り混じった気持ちで眺めていました。





建築に限らず、全体的に展示の質が高く、浜松市に芸術を学ぶことができる素敵な大学があることが素晴らしいと思います。
私が高校生のときにあれば、もっと良かった(笑)。

卒業生の皆さんの活躍に期待します。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 09:31

2024年01月06日

今、無事であることに感謝

こんにちは、大林です。

 能登半島地震の被害の状況が徐々に判明するにつれ、被害に遭われた方の数が増えていくことに胸が痛みます。 被害に遭われた方の御冥福と一日でも早い復興を心よりお祈りします。



 昨日今日と長男次男がそれぞれのアパートに帰るのを見送りながら、この正月の能登半島地震のこともあり、29年前の阪神淡路大震災のことが頭に浮かびました。

 浜松北高の同級生が神戸大学在学中に阪神淡路大震災で被災し、命を落としました。 部活にろくに顔を出さない、私達幽霊部員にも文句も言わず、暖かく接してくれた彼でした。 何で彼が?と思わなかった日はありません。

 ある時、神戸大学在学中に被災した他の学生の保護者の方の手記をふと目にしました。

その中で、下宿に戻る息子に「今日は遅いし、もう一晩泊まって行けよ。」と言わなかったことを後悔しているという文面が、ずっと私の頭に残っています(この頃は成人の日が1/15で、地元で成人式をする学生も多かった)。 私も歳を取り、自分の子供らも大学生になった今、子供らが旅立つ後ろ姿を見送りながら私にも「もう一晩~」の言葉の重さが現実味を持ってひしひしと迫ってきます。 

 幸い、建築の耐震化、不燃化も進み、阪神淡路大震災ほどの災害被害はもうないだろうと思っても、日本中で大小の災害に依然として見舞われています。 そして、数日前の能登半島でも。 

 少なくとも、家族の命を守るはずの自宅で命を落とすようなことが有ってはならない。 建築技術者としてクドいほどに構造の大切さを訴求していきたいと思います。

 そして、子供らが帰省してくると米や肉は飛ぶように消え、酒は蒸発する(笑)、そんな幸せに感謝しながら、今年も一年、趣味に仕事に自己研鑽に頑張ろうと思った、2024年の正月休みでした。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 20:45

2023年12月30日

そろそろ、今年も「最後の直線に入りました」的な時期ですね

こんにちは、大林です。

本日、12/30です。ちょっとブログの間隔が空いてしまって体裁悪いですが、駆け込みで投稿中です(笑)。

 子供が大きくなると、12月はサンタさんの出番が無くなりその点では楽になりますが、外に住む子供らの帰省という一気に我が家が賑やかになるイベントに変わります。 そろそろ、我が家も長男次男が帰省して家族4人揃うかなと思いながら、年内の残務整理をしています。



明日には懐かしいこの玄関をくぐるはず。

 自分の若い頃を思い出してみても、雪の降る札幌の狭いアパートでも「住めば都」とは言うもののやはり実家は実家で、こたつに足を突っ込み懐かしい味の料理を食べ、小遣いをもらって札幌に帰った映像が今でも鮮明に頭の中に思い浮かびます。

 住んだ記憶というものは、いくつになってもやはり心の奥底に拠り所として残るもの。 設計させて頂いた皆様のご家庭のお子様の記憶にも当事務所の一品生産の住まいが微かにでも残ってくれるといいなといつも思っています。

皆様良いお年をお迎えください。

大林勇設計事務所
  


Posted by 大林勇設計事務所 at 15:18

2023年11月11日

寒くなくても薪ストーブの試運転してみました。

こんにちは、大林です。

今年の冬は、何だか変。 寒さの到来が遅くないか?そんな気がします。

 私自身も木の家に住む薪ストーブユーザーですので、いつから焚こうか11月になると少しソワソワしています。

それなのに、それなのにまだ冷える気配がありません。 ついこの前の日曜日なんて、暖かかったので半袖ジャージで100キロサイクリングしてしまいましたよ。

 ただ、数日前に「金曜日は久しぶりに雨が降り、週末は冷えます」、なんてニュースが有ったので思わず、ストーブの試運転。




今年は、ストーブポリッシュで本体の天板を磨き、煙突掃除も終え気分的には新品になりましたのでフレッシュな気持ちで着火。 貰い物の端材やみかんの木の薪割りの破片など、普通の家ではゴミのようなものが我が家では冬の熱源になるので、みかんコンテナに詰めたままで、正直なところ少し邪魔。

 そんな訳でシーズンの始まりは片付けも兼ねて細かい端材が片付いていくので、焚く喜びと片付いていく喜びがあり、個人的には満足感があります。 ただ、試運転なので、燃焼の異臭がしないか?とか排気が漏れていないか?とか、様子を見ながらストーブ本体と煙突を暖める程度です。


 ここで、皆さんは、今ってそんなに寒いか?という疑問が湧くかと思います。


そこで薪ストーブユーザーの気持ちを勝手に代弁しますと・・・


「寒いから焚くのではない、暑くないから焚くのだ」


現場からは以上です(笑)。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 11:53

2023年10月18日

薪ストーブにもお化粧してみました

こんにちは、大林です。

朝晩は、だんだん涼しくなってきました。

夏が終わると同時に私にとっては今年もまた10月に1つ歳を取る感慨と、薪置き場に溜まってきた小枝を薪ストーブで消費できる、小さな達成感が入り混じる季節です。



今年はシーズンインに先立ち、ずっと気になっていた薪ストーブの天板の手入れをしました。

鍋を載せたり、やかんを載せると長い期間のうちに塗装が剥げ、軽めの錆が発生します。 すでに10年以上働いてくれた、我が家のNestor Martin(ネスターマーチン)社の S33も少し年季が入ってきたところでした。

手入れをしようにも、耐熱スプレーで塗装するには、余計なところに飛散しないようにビニールシートで養生(囲うこと)が面倒だったのですが、靴墨のような ストーブポリッシュ を使うと布やスポンジでササっと塗り広げるとそれなりの見栄えになりそうとのこと。 早速調達し、軍手とボロ布でチャレンジしてみました。



 塗った感じは、まさに靴墨。 サビや色褪せの部分もすっかり消え去り、新品同様とは言えませんが随分と若返ったように見えます。 焚き始めは、おそらく塗装が焼けたような匂いがすると思いますがすぐに消えることでしょう。

 今年も焚き始めが楽しみです。 今年も少しづつですが薪ストーブの普及活動に努めたいと思います。


大林勇設計事務所
  


Posted by 大林勇設計事務所 at 16:32共通

2023年10月05日

老いる日本の“住まい” 第1回 空き家 1000万戸の衝撃

 こんにちは、グッと気温が下がってきましたね。
今朝便座に座りながら、便座の温度目盛を0から1に上げた大林です。

 つい先日、NHKスペシャルで興味深い番組がありました。 見ました?


https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2023100101635

 その名も「老いる日本の“住まい” 」シリーズ 「第1回 空き家 1000万戸の衝撃」。 第1回と銘打つからには、まだ続くと思われるので視聴をオススメしたい。 視聴後に浜松を離れている知人からも、「現実を見せられてツラい」との感想も。

 私の住む浜松市でも、郊外に行くと空き家が散見される。 子世代が市内でも交通の便の良いところや就職で都会に行ってしまうことで、住み手がいなくなってしまうのだ。 そのまま、土地と建物を売却したり、建物を解体したり、相続人の意図ある動きがあればまだ良いものの、そのまま放置というのが、耐震安全上、防犯上ともに問題がある。

 山間部や郊外の住宅を相続したものの、どうしよう?と困っているとの相談をいくつか受けている。 道が狭くて解体の重機もダンプも入れないというのだ。

 昔の人は、人力でよくもこんなところに建設できたな、と敬服する部分も大いにあるが重機使用が当たり前の今となっては、周囲の安全のためにいざ解体だ、と動き出そうにも相続人を悩ませている。 さらに、解体後に更地で売れるならばまだ良いが、展望もなくとりあえず更地にした場合は住宅用地の特例がなくなり、土地の固定資産税が数倍に跳ね上がる。

 この番組でも言及されていたが、やはり使える住まいは手を加えて中古住宅として流通させるとか、リノベ借家として需要を発掘させるなど、建築と不動産の融合で解決できそうな役割があるように思う。 ただ、貸し手と借り手の需要を見出すことが大きなハードルか。 仲介手数料が苦労の割に安いことも有り、不動産業者が積極的に動くとはあまり思えない。

 私も、ここ数年そんな予感がしていて勉強の趣味が高じて宅地建物取引士の合格率17%の試験を受け、何とか合格。 これで開業するつもりは有りませんが、何らかの知識として生かして地域のお役に立ちたいな、と。

 設計する、直す、活かす、そんなスキルが求められる日が近いうちに来るでしょうね。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 11:21

2023年09月27日

やはり居住空間は面白い、砕氷艦しらせ一般公開

こんにちは、大林です。



 土曜日に愛知県の蒲郡港に南極観測の砕氷艦しらせが着岸し、一般公開があると聞き、ドライブがてら行ってきました。 大学時代に自転車つながりで知り合った研究者の某先輩が調査で乗船していたこともあり、艦内を案内していただき久しぶりの再会を楽しみました。

なお、建造費を出した文部科学省では「南極観測船」と呼び、運用を担当する防衛省では「砕氷艦」と呼ぶそうです。

 私はと言えば、昔から乗り物全般は好きなのですが、船や飛行機は昔から好きで特に人が滞在する狭い空間は、職業柄好奇心が止まりません。 かつては子供と乗り物図鑑を見ながら、断面図を見るのが特に楽しみでした。



研究者用の個室も公開されており、廊下から内部の写真を撮ることができました。

艦内の船員用の階段はかなり急角度な上に、艦内の天井は低く、廊下で手を伸ばした感じでは、我が家のダイニングと同じく天井高さ2.1mくらいのようでした。ただ、フェリーと同様に個室には窓がない部屋もあり窓の存在のありがたみを大いに感じました。

浴槽の湯は海水で、仕上げに真水の湯で流してお風呂から上がるそうで、「海水は捨てるほどあるけど、真水は貴重なんですよ」と力説しておられました。

二度の南極のお話も大変貴重で、「オーロラも最初のうちは珍しくて見たけど、寒い日は外に出るのが億劫なのでそのうち見に行かなくなる」となんとも贅沢なお話も聞くことができました。南極の石の話や氷の話、未知の世界のお話はとても興味深く、すっかり長居してしまいました。

船も家も人が過ごす空間の寸法調整は特に大事、こじんまりとした空間では特に。そんなことをふと思いました。


大林勇設計事務所

  


Posted by 大林勇設計事務所 at 15:33共通

2023年08月22日

家庭訪問と間取りの答え合わせ

こんにちは、大林です。
お子さんのいらっしゃる家庭では、そろそろ宿題のラストスパートが始まる頃でしょうか? えっ?まだ? 私も子供の頃読書感想文を書くのは苦痛だったなあ。



 さて、先日、6ヶ月点検と不具合調整を兼ねて家庭訪問してみました。 近況報告などの簡単なやり取りはラインで済ませているのですが、やはり顔を合わせて御家族全員と会話するのは設計者として嬉しく、楽しいものです。 お子さんたちの成長も会う楽しみの一つです。





 土地探しから密に連絡を取り合い進んできたので、角地で2階リビングを採用して通行人の視線も気にならず、良かったですよね、と外を見ながら「答え合わせ」の気持ち。 私も継続してこのエリアの不動産情報を観察していますが、「もっと早く出てくればよかったのに」という土地には、一度も遭っていないのできっと正解だったと思いますね。

 実際、外から見上げてもガラスの反射で中が見えないそう。1階リビングでもないのでアスファルトの路面を通ったヌルい風が室内に吹き込むこともなく快適とのこと。 

 ただ、2階リビングに対しては世の中の建築予定者のうちで一定数のアレルギーが有ることも事実。 2階リビングを快適なものにするためには、緩い階段とセットで考えるのが必須。 間取りのセオリー的には、水回りをすべて1階にまとめると必ず1階面積が肥大化します。 そうなると2階は個室だけとなるか、面積の帳尻合わせに吹き抜けを作るか、最終的にはそんなストーリーにならざるを得ません。

 総合的に考えて、LDKを2階に上げるのか、LDKを1階においたまま、洗面浴室寝室個室を2階にまとめるのか、あるいは平屋にするのか・・・。家族の希望、土地の広さ、もちろん予算により、進む道は人それぞれ。 緩い階段は、当然ですが面積を消費します。土地に余裕があれば、平屋も選択肢としてはアリです。

我が家では、LDKは1階ですが、洗面・浴室・寝室・個室を2階にまとめているので、洗濯物が一階に下りてくることなく、これはこれで正解かなと考えています。



 さあ、あなたならどうしますか?  事前に連絡くだされば我が家の緩い階段をご案内できます。 これなら2階リビングもいいかな、と感じていただけるはずです。 緩い階段は2階リビングの成否を分ける、20年近い設計経験でそう考えます。

大林勇設計事務所  


Posted by 大林勇設計事務所 at 11:52共通